家族が成年後見人になるケースと制約

成年後見人になることは、精神上の疾患や判断能力の低下した人の財産を保護する重要な役割です。家族が成年後見人になることは可能ですが、一定の条件や制限があります。

家族が成年後見人になる方法

家族が成年後見人になるには、任意後見と法定後見の2つの方法があります。

任意後見人

任意後見人は、本人が自分の意志で決めることができる成年後見人です。本人に判断能力があるうちに、判断能力喪失後の管理を任せたい相手と契約を結びます。そのため本人の意志で、家族を成年後見人にできます。

法定後見人

法定後見人は、本人が自分の意志で決めることができなくなったときの成年後見人です。一般的には、認知症や精神疾患になっているときになります。法定後見人設置の申し立ては、4親等内の親族か、所轄の市町村が行います。その後、家庭裁判所が審査をして法定後見人を選ぶ仕組みです。

家族でも成年後見人になれないケース

家族でも成年後見人になれないケースがあります。

欠格事由に該当する場合

家族でも、欠格事由に該当する場合には成年後見人になれません。主な欠格事由には、未成年者、家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、破産者で復権できていない人、被後見人に対して訴訟をし、またはした者などが含まれます。

本人の財産を使い込むおそれがある場合

家族でも、本人の財産を使い込むおそれがある時には成年後見人になれません。これまでの破産、浪費癖、使い込みがある場合、問題を起こしていると成年後見人になれないことがあります。

本人に多額の財産がある場合

家族でも、本人に多額の財産がある場合には成年後見人になれません。理由は、本人に多額の財産があると、財産管理が複雑で、財産管理に関する知識が必要になるからです。

家族以外の人でも成年後見人になれるか

家族以外の人でも成年後見人になることができます。特別な資格は必要ありませんが、成年後見人の欠格事由に該当する人は成年後見人になれません。

困ったら家族信託を活用しよう

成年後見人以外の制度として、家族信託があります。家族信託は、本人に判断能力があるうちに、家族に財産管理を任せる制度です。家族信託をするには、本人と家族が信託契約を結ぶ必要があります。

まとめ

家族でも成年後見人になれるケースとなれないケースがあります。成年後見人制度は、本人の財産管理をするうえで安全で信頼性が高い制度ですが、制約も多く、柔軟性がなく使い勝手が悪い場合もあります。そのような場合は、家族信託を検討することをおすすめします。家族信託であれば、安全性はそのままで、家族は柔軟性が高い財産管理を行うことができます。